先輩医師インタビュー 分野 循環器内科
2023年03月13日

生命に直結する疾患をカテーテルで治療するやりがい

新潟県立中央病院 専攻医古瀬博規先生新潟県出身・令和2年 新潟大学医学部卒業

循環器内科を選んだのはなぜですか。

対象とする臓器は動的でダイナミックで、急性期医療に関わり生命を直接的に助ける――その二点で、学生の時から循環器に興味がありました。実習が始まったときには、救急対応で呼ばれた医師がカテーテル室に入った途端、患者の心臓が止まり、それを回復させるというシーンを何回も見て、循環器内科志望は明確になっていました。本来は外科がやるような手技を内科が行って、1分1秒を争う冠動脈などの疾患を治療するところが、まさに生命に直結する治療でとても魅力的に思えました。
大学卒業後は、急性期の医療を身に付けたいと思い、新発田・新潟・長岡・上越市の三次救急のある病院の中から当病院を選んで初期研修を受けました。専攻医として学ぶ場も当病院を希望し、引き続き指導を受けています。

現在の仕事内容について教えてください。

新潟県立中央病院は上越エリアの基幹病院かつ認定施設なので、カテーテル治療を必要とする多くの患者さんが来院します。カテーテルの施行は週4日で、3名のチームで2日ずつ担当し、多い日には5,6名の治療に当たっています。また、当病院は三次救急医療機関でもあるので救急搬送される心筋梗塞など急性期の心疾患にも対応し、年間で700例を超えるカテーテル治療を行っています。今は、上司や先輩の指導を受けながら実際に手技を施行し、経験を積んでいるところです。忙しい日々ですが、やりがいは大きいです。

循環器内科の魅力とはどういうところですか。

まず、カテーテル治療は虚血性心疾患だけでなく、不整脈、慢性下肢動脈塞栓症、心臓弁膜症の治療が可能であること、そのカテーテル以外にも心エコーによる検査も含め広い領域があることが魅力です。
さらに、外科的な緊急の手技に加え、名前の通り内科としての役割も併せ持つところも大きな特徴です。以前、入退院を繰り返す心不全の患者さんがいたのですが、外来時も入院時も一貫して担当することで患者さんだけでなくご家族とも深く関わり、最期まで寄り添って治療を続けることができました。このとき「誰かの人生を支えたい」という医師志望の原点を思い出し、これからも頑張っていこうと心に誓いました。

今後の抱負を教えてください。

今は上司や先輩方に助けられ、専門医取得を目指しています。その後、心不全や虚血性心疾患などいずれの分野も興味深いのでどこをサブスペシャリティにするかが目下の悩みです。将来的には、国内外のカテーテル治療の先進的な医療機関で学び、その知見を新潟に戻って活かし、貢献したいと思っています。

医師を目指す方へメッセージをいただけますか。

超高齢社会の日本では心不全が増え続けています。ところが、新潟県内の循環器内科医は少なく、1秒を争う治療がこれからも全域で等しく受けられるかどうかが問題になっていくでしょう。これからますます必要とされる診療科なので、間違いなく大きなやりがいを実感できると思います。ぜひ若い人たちに来てもらいたいです!
私は新潟大学で学んだので、新潟県内の病院にはどこへ行っても同期や診療科の先輩がいて何かと心強いです。医療ドラマで見るような大学の派閥争いとは無縁ですし(笑)、和やかで働きやすい環境です。つい先日長男が生まれましたが、休みもきちんと取れるので、気候が良くなったら家族でアウトドアを楽しみたいと思っています。

(所属等は執筆時現在です。)