先輩医師インタビュー 分野 小児外科
2021年05月22日

新潟県の小児医療を支える一助になれればと思い頑張っています

新潟大学医歯学総合病院 小児外科 助教荒井勇樹 先生福島県出身・平成21年 新潟大学医学部卒業

小児外科を目指したきっかけは何でしたか。

自分が子供のころに病気やけがで入院した時にお世話になったことが、医師になるきっかけだったと思います。小児外科に決めたのは、学生の実習で「おもしろそう」と思ったことが決め手ですね。

15歳までが小児の患者さんなのですね。

はい、15歳までが小児とされています。しかし、先天性の小児外科疾患で治療を受けている方は、成人になっても当科で診療を継続しています。

小児外科の診療はどのような特徴がありますか。

小児外科は、消化器、呼吸器、泌尿器、生殖器など診療する領域が多岐にわたります。さらに対象年齢は新生児から15歳までとなっており、年齢によってもまったく対応が異なります。新生児の赤ちゃんは、生まれてくる体重やお母さんのお腹の中にいる日数が違うだけで、呼吸、循環や代謝の状態が大きく変わります。このように扱う領域が広く、年齢による対応が異なるのは、小児外科の特徴かもしれません。少子化が進んでいますが、新生児手術件数は年々増えています。新生児医療の発展に伴って、手術ができる新生児が増えたのも影響していると思います。

小児外科で扱う疾患には、泌尿器や生殖器における難治性疾患もあります。これらの治療には、小児科医、産婦人科医、泌尿器科医、整形外科医、形成外科医、放射線科医、脳神経外科医、看護師などの医療スタッフと連携して治療に当たっています。当院では定期的な合同カンファレンスも開催して、治療方針を検討しています。難治性の泌尿生殖器疾患では、生まれてすぐに治療が必要なことも多いですが、それで終わりではなく、その後もその子の成長に伴って、出てくる問題もたくさんあり、1つ1つに適切な治療を行っていきます。そのため、小児外科単科だけでの治療とは行かないため、生まれた時点で、さまざまな診療科や医療スタッフが関わって、その子の治療方針を長期的に見通して、考えていかなければなりません。

先生のご専門は悪性腫瘍なのですか。

新潟県内の小児の悪性腫瘍の患者さんは、大学と県立がんセンター病院に集約されているため、診療にあたる機会は多いです。今は新潟県で行われてきた神経芽腫への治療について研究しています。神経芽腫は、小児がんの中では、血液腫瘍、脳腫瘍に次いで多い疾患です。1985年から2003年まで国の主導で、神経芽腫のマススクリーニング検査が生後6か月のお子さんに行われてきました。現在は、そのスクリーニング検査は中止されておりますが、中止後の臨床像の変化や治療成績などについてデータ解析をしています。小児がんへの治療法も自家末梢血幹細胞移植を用いた大量化学療法の導入などにより、治療成績は向上しています。

小児がんは、小児がかかるさまざまながんの総称です。一般的には15歳未満にみられるがんのことです。大人と異なり、発生頻度はとても少ないです。わが国では年間2,000~2,500人の子どもが小児がんと診断されています。子ども10,000人に約1人の割合になります。5歳以降での子供の死亡原因の1位になっております。研究を通して、このような子供たちを1人でも多く助けられるように頑張っていきたいと思っています。

医師を目指す方へメッセージをいただけますか。

人を救う医師という仕事自体に大きなやりがいがあります。その分過酷でもあり、自分の時間や家族との時間を犠牲にすることもありますが、医師という仕事に私は誇りを持っています。自分の子供たちにも何か伝えらえるような医師になれればと思い日々頑張っています。自分の家族との時間も大事で、仕事とプライベートの両立は重要と考えています。休んでいるときと仕事の時とのメリハリもあった方がいいと思います。

小児医療は大変そうだと敬遠されがちですが、やりがいはとてもある仕事だと思います。病気を持ったお子さんが、手術もしながら、元気に成長していく姿が見られるのは、普段の診療でも喜びや仕事への活力になります。小児外科医は、外科的治療をもって救えるお子さんの治療にあたっていきます。将来を担う子どもたちを助ける医師を是非目指してもらえればうれしいです。

(所属等は執筆時現在です。)