先輩医師インタビュー 分野 脳神経内科
2019年11月08日

脳神経内科の幅広い領域にやりがいを実感。

新潟県立新発田病院中島章博 先生平成27年・山形大学医学部卒業

現在のお仕事について教えてください。

長岡赤十字病院での研修、新潟大学、新潟県立中央病院などでの勤務を経て、2019年4月から新発田病院の脳神経内科で勤務しています。

脳神経内科は脳、脊髄、末梢神経、筋肉の異常で体に障害を持つ患者さんを診療する科です。対象は小児から高齢者まで、疾患には急性も慢性もあり、脳卒中などのコモンディジーズから、免疫性疾患や末梢神経疾患などの希少な疾患まで多岐に渡るので、医師としての守備範囲は他に比べて広範です。

様々な診療科と連携するのも、当科の特徴です。たとえば、脳や神経の異常によって内臓にも異常が現れる疾患も多いので、他の内科で診療を受けていた患者さんが、神経症状が認められて当科に移ってくる場合もあります。一方、当科で診断されて、手術が必要なために脳神経外科や整形外科に移り、手術を受けることも。そういう「広さ」がこの科の特徴だと思います。

脳神経内科医を目指したのはなぜですか。

医師をめざしたのは、人の役に立ちたい、理系の研究がしたいという、漠然とした二つの希望を持ったから。どちらか一つではなく、臨床も研究も行いたいと思っていました。脳神経内科での研修で、問診を重視し、患者さんや家族に寄り添って治療にあたる先生方の姿に感銘を受け、研究への興味も高まり、この科だ、と思いました。

実際に、脳神経内科領域では、様々な疾患に対して研究が進んで、新しい治療法や薬剤が開発され、次々と臨床に適用されています。私も医学の進歩に寄与できるよう、努力していきたいと思っています。

新発田病院はどのような病院ですか。

新潟県の北部、阿賀野川より北の全域の救急救命と高度先進医療を担う基幹病院です。同時に、地域医療支援、災害拠点病院としての機能も持っていることから、県北の最後の砦と呼ばれています。

高齢化を背景に、当科の患者さんの70%は脳卒中など脳血管障害です。定期的な健康診断受診や、血圧やコレステロールの管理など成人病対策ができていれば予防できるケースが多く、一次予防の必要性を実感しています。また、回復後は維持・管理が必要なので、患者さんはもちろん、家族への指導、地域の医療者や介護者など病院外の機関の人々への協力要請を行うこともあります。

これからの目標について教えてください。

県内の病院で経験を積んだ後、大学院で学び、その研究の成果を患者さんのために役立てたいと思います。将来的には、地域医療の現場で、治療はもちろん、予防や治療後のケアにも関わっていくことが目標です。

治癒に長い時間がかかったり、残念ながらまだ治療法が確立していない疾患もあるので、患者さんが望む場所で、望む生活ができるようなサポートをしていけたらと思っています。以前担当したALSの患者さんで、入院時はかなり状態が悪かった人が、自宅に帰って生活できるまでになったという例がありました。それには、本人の努力だけでなく、家族や周囲の人たちがリハビリやケア、栄養摂取を理解して心身とも支えることが必要。そういうところまでフォローして、QOL向上を叶えたいと思っています。

医師を目指す人へメッセージをお願いします。

新潟県は縦に長く、面積が広いので、大都会なら大病院に集中するような症例の患者さんが地域の病院にとどまり、そこで治療を完結させています。各病院では実績と実力が培われ、実践的な研鑽を積む場として最適な環境だと思います。

ますます高齢化が進めば、しびれやマヒ、痛み、動きづらさなどの症状を訴える患者さん、認知症の患者さんが増え、脳神経内科が果たすべき役割が大きくなっていくでしょう。脳神経内科医として新潟の地域医療を支えませんか。

(所属等は執筆時現在です。)