子育て医師のインタビュー 分野 脳神経内科
2019年03月27日

問診を重ねて病気を突き止める。その達成感が醍醐味です。

新潟市民病院関谷可奈子 先生東京都出身・平成18年 新潟大学医学部卒業

現在のお仕事について教えてください。

長岡赤十字病院での初期臨床研修後に、新潟大学医歯学総合病院での勤務を経て、新潟市民病院の脳神経内科で外来と病棟を担当しています。ここには、新潟市だけでなく佐渡や村上も含めた広い範囲から患者さんが来院されます。当院では、県内では珍しく脳卒中科が独立していて、脳神経内科では、主に脳卒中以外の神経・筋疾患を対象に診療にあたっています。その内容は、頭痛、めまい、しびれ、認知症などcommon diseaseと呼ばれるものから、パーキンソン病や筋委縮性側索硬化症などの神経変性疾患など、多岐にわたります。また、当院は下越の3次救急を担う病院であり、重篤な患者さんも多く搬送され、意識障害、けいれんなど神経に関わる症状がある場合には、救急科や他科と連携して治療を行うことも多いです。

脳神経内科を志望されたのはなぜですか。

学生時代から「脳の不思議」とリハビリテーション医学に興味を持っており、脳神経内科にひかれていました。スーパーローテ―トを組む初期研修では手術を行う外科系の科のおもしろさにも惹かれましたが、最終的に脳神経内科を選びました。脳神経内科というとマニアックな科と思われがちですが、神経は全身に張りめぐらされているので、実は幅広い診療科であることも理由のひとつ。また診断の面白さもあります。今は診断のための検査機器が発達してきて、当科でもMRIなどの画像検査や血液検査などは重要なツールではありますが、脳や神経はなかなか簡単に直接組織を取ってきて見たりというわけにはいかないので、診断に至るプロセスは割と古典的で、一番診断に重要なのは実は問診です。患者さんと話し身体に触れて病気を突き止めていく、医療の原点というか原始的なところに知的なおもしろさを感じました。探偵のように原因に迫って突き止めて治療に活かすという一連の流れはこの科の特徴ですね。

やりがいを感じられるのはどういうときですか。

患者さんが治療によって回復され元気に退院される顔を見たときはもちろんですが、脳や神経の疾患は、治療法が残念ながらまだないものも多いのです。そんな難しい状況に直面したとき、患者さんや家族と一緒に悩むということも大事な仕事です。瀕死の患者さんを「神の手」で劇的に救う!といったようなドラマのような場面は実際にはあまりなく、治療という意味ではやりがいとは違うかもしれないですが、病気という逃れられない苦しくて長い道のりを、患者さんの脇について一緒にひたすら歩いていく、そこに医療者としての重要な役割を感じます。
年単位、中には十年単位での長いお付き合いの患者さんも多く、多くは人生の大先輩なのでむしろ患者さんから教えてもらうことも多いです。

これからの目標を教えてください。

上司や周囲の先生方に支えていただいて、なんとか仕事と育児を両立している状態です。今、自分の置かれている環境に感謝しながら、まずはできる範囲の仕事をしっかりと続けていきたいと思います。長男のときはいったん退職して出産の1年後に復職し、子育てをしながら神経内科専門医資格を取りました。その後、長女を出産して育休を取得し、復帰した今は当直や休日出勤を免除してもらいながら、仕事を続けています。子どもが急な病気になった時には、病院内に病児保育施設があるので助かっています。私も夫も家族は県外にいて日常的なサポートが頼めない中で仕事を続けられているのは、周囲の多くの人たちの理解と協力のおかげです。みなさんへの感謝をこれからの仕事で返していきたいと思います。

先生は東京ご出身でしたね。新潟県で医師として働いていらっしゃるのはなぜですか。

新潟大学を受験したのは、もともと都会のせわしさがあんまり合わず自然が多いところで暮らしたいという私の気持ちと、試験科目の条件(正直なところ…)の両方が一致したことからです。親戚や知り合いがいたわけではなく、もともとは全く縁のないところでした。でも実際住んでみると、新潟は自然が豊かで、街も人ものんびりとしていて、食べ物もおいしくて、とても気に入り、卒業後もそのまま新潟での研修を決めました。さらに、結婚して子どもが生まれて、子育ての環境としても、共働きの環境としても、新潟はとても過ごしやすいところと実感しています。最近は家族でアルビレックスの試合観戦に行ったりして、新潟での生活を楽しんでいます。

医師を目指す人へメッセージをお願いします。

私は医師という仕事が好きです。だから、70歳でも80歳でも、ずっと働き続けたいです。歩みが遅くても臨床医を続けていこうと思っています。今は時間の制限もあり、一人分の仕事はできず、十分な勉強時間もなかなか取れず、年はいっているのに臨床力はまだまだで、自分自身もどかしい気持ちになることもありますが、いつかは私がサポートする側に立って若い人たちを支えられたらと思っています。まじめで一生懸命な人ほど、他者に頼ったり助けてもらったりすることを申し訳なく思い、罪悪感を抱いたりするかもしれません。でも、そういうネガティブな考え方では仕事は続けていけません。そういうときこそ、長期的な視点から、「鈍感力」を身に付けて。他の人とは比較せずに、今の環境の中で、自分のできることを自分のペースで続けてください。

(所属等は執筆時現在です。)