研修医インタビュー 分野
2024年02月05日

「イノベ枠」での刺激的な2年間で将来が拓けた

立川綜合病院 研修医宮城禎弥 先生神奈川県出身・令和4年 東京医科歯科大学医学部卒業

新潟県の病院で臨床研修を受けようと思ったのはなぜですか。

ずっと都心で医療を学んできたので、地方の医療を自分の目で見たいと思ったのがきっかけです。高齢化や医師不足などの地方での問題は、将来的には日本全国で起きうることなので、実際のところを知っておきたいと思いました。当院は候補の一つでしたが、面接のときに知った「イノベ枠」という新潟県独自の制度が決め手になって、それを受けられる当院を研修先に決めました。もう一点、東京から上越新幹線で90分という長岡市のアクセスの良さもプラス要因でした。

「イノベ枠」とはイノベーター育成臨床研修コースですね

新潟県内の病院で臨床研修をしながら、講座やミーティングに参加して、経営や医療イノベーションについて学んでいくという画期的な制度です。話を聞くまで知らなかったのですが、学生時代から医療分野でのITやAI活用に興味があったので、医療イノベーションについて学べるのはラッキーだと思いました。月2回のオンライン講座、2か月ごとの対面ミーティングのほか、チャットツールを使った講師や学生とのコミュニケーションで知識やスキルが得られるだけでなく、病院や診療科、地域を超えたネットワークが築けるのも魅力的です。

臨床研修とイノベ枠の両立は大変では?

基本的には自己研鑽なので、イノベ枠の講義も勉強も休日や時間外に行います。ただ当院では、講義に支障がないようにスケジュールを組んでもらえるなどの配慮もあり、受講はスムーズでした。自分自身でも、両立させるために、仕事を早く覚えて効率よく進める工夫をしたり、イノベ枠の勉強やワークを集中して行ったりしていたので、両方に好影響があったと感じています。そもそもイノベ枠での経験が刺激的で、大変だとか負担だとか思うようなことは一度もなかったです。

もっとも魅力的なのはどういうところですか。

人と人のつながりができたことですね。特に、講師はMBAやMPHを持つ医師やイノベーターなどこれまで出会ったことのない人たちで、知識だけでなく、人生の先輩として自身がキャリアを選んだ理由や目指すことなどプライベートな話もしてくれたので、それまで漠然としていたビジネスや起業などの将来の選択肢が明確に見えてきました。大学時代の同期では臨床医を目指す人が多いのに比べ、イノベ枠の同期には留学、資格取得など臨床以外の道を目指している人もいて、それもまた刺激になりました。

イノベ枠での知識はどういう場合に役立つでしょう。

イノベーションを起こすには、ロジカルに考えられること、人を動かすこと、新しいテクノロジーを理解すること、人と人を結びつけることなど様々な力が必要です。これらの知識や意識は臨床医にとっても必要なものだと思います。小規模な医院で働く場合、開業する場合はもちろん、経営に直接関わらなくても病院では医師が決定すべきことが多いので、イノベ枠で身につけたことは有意義なはず。こういう学びは大学ではできないし、一人ではキャッチできないことなので、興味のある人はぜひ!

イノベ枠に興味のある方へメッセージをいただけますか。

当時の新潟県の福祉保健部長がイノベ枠のガイダンスでおっしゃった「『1期生』という強みを活かして欲しい」という言葉が印象に残っています。イノベ枠内に先輩となる方がいないため、苦労したところもありましたが、前例のない中で、県庁・講師陣・受講生が一体となってイノベ枠を作り上げることは我々にしかできない貴重な経験だったと感じています。一方で、これから入ってくる受講生には我々1期生を超えるような、より進化した学びが待っていますから、楽しみにしてほしいと思います。

(所属等は執筆時現在です。)