子育て医師のインタビュー 分野 外科
2018年11月30日

職場の柔軟な対応と夫の協力に支えられています。

厚生連村上総合病院大渓彩香 先生秋田県秋田市出身・平成26年 秋田大学医学部卒業

秋田県から新潟県にいらしたのですね。

初期臨床研修までを秋田で過ごし、後期研修は新潟大学のプログラムに所属し、現在厚生連村上総合病院で外科医として勤務しています。人口7万人の村上市で唯一の総合病院で、粟島など遠方から長い時間をかけて来院する患者さんも多く、地域の医療を支えているという実感があります。また、秋田市や新潟市に比べると高齢者比率が高く、その分、既往症や合併症への対応も必要なので、外科や内科などの診療科の垣根を越えて治療にあたるケースも多いですね。午前中は外来・病棟業務やカンファレンス、午後は局所麻酔手術から乳がんや胃がん、大腸がんなどの全身麻酔手術まで、週4日手術を行っています。今は子育てのまっただ中で、自分の時間がなかなか持てないのが悩みです。

お子さんはおいくつですか。

1歳10か月の男の子でイヤイヤ期まっただ中です。産休・育休を経て、4月に週4日出勤のパートタイムで仕事に復帰しました。しかしすぐに「もっと働きたい」と思い、復帰翌週から通常の勤務に。ただ、夜間は私か夫のどちらかは家にいられるように配慮してもらえています。こちらの希望に柔軟に対応していただけるので、本当にありがたいなと思っています。

平日は8時に出勤し、だいたい18時に仕事を終えます。保育園のお迎えは、同じく外科医の夫か私のどちらかが状況に応じて臨機応変に。二人とも手術が長引くようなときには、シッターさんにお願いしたりしています。村上に来てからは、夫が家事も育児も積極的に分担してくれて、仕事のことも家庭のことも相談できるよき理解者でもあります。

産休・育休を経て、何か変化はありましたか。

復帰後、消化器外科をやりたいという気持ちが以前より強固になりました。内科的治療は発展していますが、手術でしか治せない患者さんもいて、そういう人たちを助けたいという、外科志望の原点を再認識。また、手術で回復して「ありがとう」と言われたときの達成感も忘れられませんでした。

実は、子供が生後半年の時にも一度復帰しましたが、心身ともに体調を崩してしまい、一度休職しました。その時お世話になったカウンセラーにとても救われ、”病気”を診るだけではなく”一人のひと”として患者さんに向き合えるようになりたいと改めて思いました。そこで、再復帰前にメンタル心理カウンセラーと上級心理カウンセラーの2つの資格を取りました。ここで得た知識を仕事の中で、患者さんに対して活かせたらいいなと思っています。

今後の目標を教えてください。

来年、外科専門医の認定試験を受けます。外科専門医取得後は消化器外科専門医取得が目標です。でも、それは目標のひとつです。日々知識と技術を高めて経験を積み重ねて、できるだけ多くの患者さんを救いたいです。そして、そのために勉強する時間をもっと確保したい――時間の使い方の工夫も課題です。

後輩の女性医師へのメッセージをいただけますか。

一刻を争う緊急手術や助かるかどうかという厳しい状況など、直接生命に関わる医師という仕事は、確かに厳しく大変な仕事です。また、私の職場は恵まれていますが、今の社会が女性医師にとって働きやすい環境だとは言えません。特に消化器外科では、女性医師より男性医師が多いという状況、手術や術後の管理は長時間に渡るという事実があり、私自身も子育てと両立できるのかと迷った時期もありましたし、今でも考えることがあります。

でも、自分の進みたい道はあきらめないでください。その時には前に進めなくても、必ず取り戻せます。やらなかった後悔よりずっといいと思います。

特に、出産や育児の間は、時間的な制約があり、また精神的にも身体的にも負担があり、それまでのようにはいきません。周囲と同じペースでは前に進めないかもしれません。でも、それは人生の中の限られた期間ですし、その経験で得られることも多いはずです。ゆっくりでも、休み休みでも続けていれば、今度はいずれ周囲への恩返しや後輩のサポートもできます。この時期の医師を、離職して0にするのではなく、いずれ1になれるよう長い目で見て応援してくださる方が増えることを願います。

そして、もうひとつ。悩みがあるときには周囲に話してください。理解して、共感してくれる人が必ずいますよ。私も家族や友人、夫、職場の人たちなど周囲に助けられました。これからは少しでも私自身が誰かの支えになれるよう努力していきたいと思います。

(所属等は執筆時現在です。)