子育て医師のインタビュー 分野 消化器内科
2018年08月09日

育児短時間勤務制度を利用して、子育てと仕事を両立しました

新潟県立新発田病院 内科部長影向一美 先生新潟県阿賀野市出身・平成13年 自治医科大学医学部卒業

現在のお仕事について教えてください。

新潟県立病院の一般内科での経験を経て、今は、消化器内科医として勤務しています。診断だけでなく、続けて治療まで関われる内視鏡診療は、研修医時代から興味があった分野。やりがいがあります。ただ、進歩の速い分野でもあるので、新たに覚えることも多く、医師になってからでも、いくつになっても勉強が必要。病院外のセミナーや学会にもできるだけ参加したいと思っています。最近は、事前に予約をすれば子どもを見てもらえる託児ルームがある会合も増えました。土日開催でも子どもを連れていけると参加しやすくて助かります。

先生は3人のお子さんのお母さんなんですね。

はい、3人は今年、中1、小4、小1になりました。長女を出産したのは医師になって5年目。医師としてまだ一人前とはいえず、勤務先と実家は離れていて母の応援も頼めず、最初は公私とも不安でした。でも、妊娠中から周囲の先生方が気にかけてくださり、他病院からの診療応援でも支えていただき、心強く出産を迎えられました。

7カ月の育児休業後は、上司の提案で、年次有給休暇や育児休暇を組み合わせた就業時間短縮制度を利用し、1日4時間程度の実働から段階的に復職しました。上司が「現在の状況はどう? 次の3カ月はどういう勤務形態にしようか?」などと聞いてくださり、短いスパンで具体的に構築していただいたので、実情に合った復帰ができました。これが現行の新潟県の育児短時間勤務制度のモデルになったと聞いています。

仕事と育児の両立は順調でしたか。

就業時間短縮制度を利用し、また、一般的な保育園と、病気の回復時に対応してくれる病児保育施設を併用しながら、順調に勤務時間を延ばしていったのですが、自分自身が体調を崩し、休職してしまいました。今思うと、「子どものために頑張らなくちゃ」「医師としてこうあるべき」と、仕事も家庭も完璧にと、自分で自分を追い込みすぎたような気がします。環境は整ってきていたのに、「こんなささいなことで相談したらどう思われるだろう」と気にしたり、「これ以上は頼めない」と遠慮したり。一人で悩んでいました。

そこからどのように立て直されたのでしょう。

ひとつは時が解決してくれました。3人の子育てをしながら上手な息抜きや手抜きを覚え、子どもたちも成長して、少しずつ手が離れました。次は家族。母の援助、同じ内科医として病院勤務をしている夫の理解やサポートに助けられました。そして、医師として何を果たしたかったのかと、原点を再確認したことも支えになりました。

私が医師を志したきっかけは、高校時代に、同居していた祖父が亡くなったとき、何もできず、また何もわからなかったという無力感。その後、地域医療を担う医療者を育成する大学があると知り、そういう形で医療に携れたらと医学部に進みました。私の地元の阿賀野市をはじめ、新潟県の多くの地域では、高齢化がますます進み、医療を必要とする人が増えています。その中で、早期発見と早期治療は健康寿命を延ばすための大きな鍵。医師の役割は重要です。微力ですが、続けていかなくてはと思いました。

今後の目標について教えてください。

私が勤務している新潟県立新発田病院は、県北の救命救急医療と高度先進医療を担う基幹病院であり、地域がん診療の拠点病院でもあります。悪性腫瘍であっても早期に見つけることができれば、治療の選択肢も広がり、治癒の可能性も高まります。地域の医療機関と連携して検診の普及を図り、内視鏡や超音波による診断、内視鏡による患者にとって負担の少ない治療を進めていきたいと思っています。

後輩の女性医師へのメッセージをいただけますか。

今、働き方が多様化しています。フルタイムだけでなく、パートタイム、出産や育児・介護などでの休業や離職、復職や転職も。医師の世界でも同じです。自分はどんな人生を送りたいか、どう働きたいかを選択する場面に何度か立つことになるでしょう。女性は出産や育児の際にきっと向き合うことになります。私は一度離れ、また戻ってきましたが、みなさんはどうですか? どうしたいですか? 個人としてでも、医師としてでも、こうありたいという目標があると、歩き続けられます。若い時から考えてみてください。

新潟県立病院では、子どもが3歳になるまで取得できる育児休業、私も利用した就業時間短縮制度がありますし、院内に保育ルームを持っている病院も増えています。医療の現場では、仕事と家庭の両立支援は進み始めています。

それでも気持ちが落ち込むことはありますよね。悩んだり不安になったりしたら、周囲にどんどん話してみてください。上司でも先輩でも、後輩でも。みんな同じような悩みを抱えているものです。それに、話しているうちに自分の中で答えが見つかることもありますし。決して一人ではありません。これまで多くの上司や同僚に支えてもらったように、私も皆さんを支える力になれたら嬉しいです。

女性医師支援センターについて

新潟県で活躍する女性医師の支援を促進するため、平成28年9月に「新潟県女性医師支援センター」を開設しました。詳しくは下記ページをご覧ください。

女性医師支援センター

(所属等は執筆時現在です。)