先輩医師インタビュー 分野 形成外科
2023年02月15日

機能と外見でQOL向上に寄与し、人生を豊かに!

新潟県立中央病院 専攻医稲富 純一 先生千葉県出身・令和2年 新潟大学医学部卒業

先生は医師になる前に2つの大学で学ばれたのですね。

最初は工業系の大学で世界最小のコンピュータ設計の基盤となる研究を、その後は大学院で創薬関連の研究をしていました。大学院当時、製薬会社の研究職を志していましたが、企業での仕事は幅広く流動的であるため希望する研究を続けられないかもしれない、また研究職以外の配属となる可能性もありました。そこで、興味があった医療業界の中で「一生続けられる専門性の高い仕事」として、医師を目指そうと決めました。
新潟大学に編入学し、在学中に地域枠制度を活用し、現在は新潟県立中央病院形成外科で専攻医として勤務しています。

形成外科を選んだのはなぜですか。

単純な理由なのですが、スタートは「美容」です。医学生のときに、整形手術で大変身するというテレビ番組を見て「手術で人の外見はこんなにも変わるのか」と興味を持ち、形成外科を目指そうと思うようになりました。新潟大学卒業後は佐渡総合病院で初期研修を行い、内科系(循環器内科・消化器内科・呼吸器内科・神経内科・代謝内分泌内科・腎臓内科・小児科・精神科)・外科系(腹部外科・整形外科・脳神経外科・産婦人科・眼科・耳鼻咽喉科・麻酔科)の様々な科で研修を行いましたが、形成外科への気持ちは変わりませんでした。研修プログラムの自由選択枠期間中に新潟大学の形成外科で研修を行い、当医局に魅力を感じたため新潟大学形成外科への入局を決めました。

現在の仕事内容について教えてください。

新潟県立中央病院は上越地域で形成外科医が常駐する唯一の3次救急病院です。ほくろの除去から、熱傷、悪性腫瘍、顔面骨骨折、乳がんなど腫瘍切除後の再建まで幅広い患者さんを受け入れています。手術では機能的な回復や根治を目指すことはもとより、全ての手術において術後の傷あとが最小限に、整容面を損なわないように配慮しています。
顕微鏡を使い0.1mm以下の糸で血管や神経を縫う繊細な手技もあるので、細かな作業が好きだという人は向いているかもしれません。

形成外科の魅力とはどういうところですか。

形成外科は外科の一分野ですが、頭から足の指先まで、全身の体表面と顔の様々な異常を治療します。診療領域が多岐にわたり、手術の内容も繊細な縫合からダイナミックな再建まで幅広いところが魅力だと思います。機能面だけでなく、外見的にも改善してQOL向上に寄与できるのも特徴的です。

今後の抱負を教えてください。

将来的には顎や頬の骨を削る治療を手掛けたいと思っています。首都圏に比べると新潟では形成外科や美容外科が少なく、まだ手軽に治療を受けられる環境が整っていないと思っています。外見が変わることで人の行動や気持ちは大きく変わり、前向きに、快適に人生を送ることができるようになる、形成外科医の仕事はその一助になるのではと思っています。まだまだ専攻医1年目なので、まずは専門医取得を目指し、この数年間で形成外科医としての素地を身につけていきたいと思います。専門医取得後は専門分野の研鑽を行い、武器を引っ提げて、いつか新潟の地で形成外科・美容外科の分野で貢献できる医師になれればと思っています。

医師を目指す方へメッセージをいただけますか。

医師になる前に就活を経験した私としては、正直医師はとてもタフな仕事だと思います。病気や事故に「休日」はありませんし、患者さんに「待った」は利きません。土日に患者さんの様子を診に行ったり、休日に患者さんの急変で呼ばれることもあります。そんな大変な仕事ですが、一方で大変やりがいのある仕事でもあると思っています。医師は人の「命」を扱う数少ない仕事であり、人から必要とされ、感謝されることが多い仕事です。
この写真は顎を机にぶつけて切ってしまい、自分が傷口を縫ったお子さんからもらった手紙です。渡されたとき「本当にこの仕事を選んで良かったな、、でももっともっと頑張らなきゃな!」と元気と活をもらいました。医師としてのやりがいは「これ」に尽きるのではないかと思います。
医師は決して薔薇色の仕事ではないですが、大変魅力のある仕事だと思うので、熱い気持ちのある方はぜひ医師を目指してください。一緒に頑張りましょう!
また、県外出身の私が感じる新潟の魅力は、ダイビングやスノーボードなど四季折々のスポーツやアウトドアが楽しめること、新幹線を使えば東京へ2時間で行ける便利さ、そして、新潟市内は商業施設や飲食店がコンパクトにまとまっている暮らしやすさ。学ぶにも働くにもいい環境だと思います!

(所属等は執筆時現在です。)