先輩医師インタビュー 分野 呼吸器外科
2023年02月15日

繊細さとダイナミックさを持つ呼吸器外科を選択

長岡赤十字病院 専攻医佐藤真央先生新潟県出身・令和2年 新潟大学医学部卒業

呼吸器外科を選んだ理由を教えてください。

初期研修でさまざまな診療科を経験する中で、「自分の手を使って病気を治す」手術に魅力を感じ、外科に進もうと思うようになりました。研修医2年目のときに初めて呼吸器外科を経験し、胸腔鏡操作での繊細な手技と肺動脈など大血管を扱うダイナミックさに興味をもちました。日本人のがん死亡数トップの肺がんを治療するというやりがいもあり、呼吸器外科を選択しました。

専攻医として勤務する病院はどのように決めましたか。

そもそも呼吸器外科は大規模病院にしかなく、県内でも数は限られています。当院は医師3人体制で手術件数も多く、幅広い経験が積める環境であることが魅力的です。
新潟大学の胸部外科では基本的に専攻医1年目は大学勤務で呼吸器外科のほかに消化器外科や心臓血管外科等をローテートし経験を積んでいきますが、私は地域枠のため市中病院で呼吸器外科医として1年目をスタートしました。手の空いている日には他科の手術にも参加させて頂き、外科専門医申請に必要な手術症例は地域枠であっても遅れをとらずに経験できました。

現在の仕事内容について教えてください。

肺がんの手術がメインです。今までは肺癌に対する標準手術といえば一つの肺葉を切る肺葉切除でしたが、最近は条件をクリアできれば肺をより温存することができる肺区域切除も成績が認められ、手術件数が増えてきています。肺の血管・気管支の走行は個人差があり、喫煙状況等によって肺の状態も異なり、手術や術後管理等をケースバイケースで教えていただいています。専攻医研修を始めて10カ月で約60件を執刀しました。実際に執刀するとやりがいを強く感じますし、同時に責任感もあります。毎回学ぶことが多く、もっとできるようになりたいと思います。

手術には体力や持久力が必要ですか。

呼吸器外科の手術は肺癌に対する胸腔鏡手術が主流で手術時間はあまり長くはないですし、緊急の呼び出しも比較的少ない診療科です。体力的に厳しいと感じたことはありません。
学生時代には手術見学中に血管迷走神経反射で気を失いかけることもあり、「外科系に進むのは難しいかもしれない」と思ったことがありました。しかし経験を積み、解剖や手術を理解できるようになると、そのようなことはほとんどなくなりました。同じような理由で手術が苦手だと思う方がいても、知識と経験で克服できるので諦めずに興味のある科に進んでほしいと思います。

医師を目指す方へメッセージをいただけますか。

呼吸器外科を専攻しまだ1年も経っていませんが、できることが増え、充実した毎日を過ごしています。この科が自分に合っていたのだと思います。だから、みなさんにも「試しに行ってみる」「よくわからないけれど見てみよう」という気持ちでいろいろな科を回って経験し、自分に合う道を見つけていただきたいと思います。その中で呼吸器外科にも来ていただけたら嬉しいです。一緒に肺がん治療に取り組み、多くの患者さんを救っていきましょう。

(所属等は執筆時現在です。)