新潟で感じる、医療を学ぶ奥深さと人生の豊かさ
新潟市民病院 救急科紺野晴矢 先生沖縄県出身・令和2年 琉球大学医学部 卒業
分野 救命救急科
新潟から遠く離れた沖縄県ご出身の先生が、新潟市民病院(以下「市民病院」)にいらっしゃいます。救急科で6年目の医師、紺野晴矢先生です。沖縄で医師を目指す方は、離島で勤務する可能性を視野に入れ、総合診療医でなくとも幅広く診察ができるようにと、積極的に専門外の分野も学ぼうとする方が多いそうです。紺野先生も救急科を専門としつつ、総合診療的な視点も大切にし、幅広い診療に取り組まれています。どのような経緯で新潟を選ばれたのか、また実際に働いて感じる魅力について、お話を伺いました。
救急医療・総合診療・集中治療・外傷再建、全てを新潟で学ぶ
―なぜ、新潟を勤務地に選ばれたのですか?

まず、経緯をお伝えしますね。琉球大学卒業後の初期研修は福岡の病院で、その後さらに救急診療について深く学ぶため、大阪の病院に行きました。元々総合診療に興味があったこともあり、この大阪での勤務中に「救急医療だけでなく、総合診療も学びたい。さらに、集中治療や外傷も学べる環境はないだろうか?」と考え、これらの条件が満たされる救急科の研修先を探したところ、新潟県の済生会新潟県央基幹病院(以下「基幹病院」)で理想的な研修プログラムが開かれると知りました。
プログラムを知ったきっかけは、SNSで見かけた記事だったと思います。研修指導者となる各科の先生方が、熱心に地域医療にかける思いを語っていらっしゃることに感銘を受けました。そして、2023(令和5)年新潟へ。基幹病院は2024(令和6)年開院なので、3年間のプログラムのうち最初の約1年は基幹病院に統合される前の新潟県立燕労災病院に、開院後半年は基幹病院に、そして最後の1年半は今の市民病院に勤務しています。
まとめると、「救急医療・総合診療・集中治療・外傷、全てが学べる研修プログラムが新潟にあったから」ということになります。それぞれ、有意義な研修を受けることができたと実感しています。
医師を志すきっかけになった、ある先生との出会い
―救急医療と総合診療、先生にとってこの2つにはどのような関連があるのですか?
どちらも「専門分野の垣根を超えて、患者さんを診るところ」が、共通しているように思います。元々「なかなか診断がつかずに困っている人を助けたい」という思いがベースにあり、そのために「これは私の専門外なので診られません」とは言いたくないと思い、これを言わずに済む、救急医療か総合診療のどちらかに進みたいな、と。
これには、私が中学生の時にお世話になった、研修医の先生の影響があるかもしれません。その先生は、「医師が患者の苦しみを理解できる範囲には限りがある」と理解しつつも、長期治療を続ける患者であった私に対して、薬の副作用の不快感やつらさを一生懸命聞いてくれました。当時の私はうまく伝えられないことの方が多かったのですが、それでも先生はずっと真摯に向き合ってくださったのです。
救急医療や総合診療に直接関係のある話ではありませんが、この先生との出会いが、私が医師を志したきっかけでもあります。病と闘う苦痛やつらさを経験しているからといって、何か特別なことができるわけではありませんが、あの時の先生のように「患者さんに寄り添うこと」はできるのではないかと。今も時々先生を思い出し、「患者さんは何を求めているのか」を常に考えるようにしています。
想像以上に暮らしやすい新潟で、新潟でしか学べないことを学ぶ
―新潟に来て3年目ということですが、新潟での生活はどうですか?

とても暮らしやすいです。特に食事。本当に、何を食べてもおいしいです。完全に胃袋を掴まれてしまっているので、今後どのようなキャリア形成を選択したとしても、最終的には新潟に戻ってきてしまうように思います(笑)。新潟と言えば「魚沼産コシヒカリ」くらいしか思い浮かばなかったのですが、実際に暮らしてみて「こんなに良いところだったんだ」と驚きました。車社会であるところも、故郷の沖縄と変わりませんし、ストレスはありません。
医師としての仕事の面では、沖縄・福岡・大阪・新潟と4つの地域それぞれに特性があり、勉強になります。特に新潟は「雪」という私の人生にとっても初の環境要因があり、大変興味深いです。雪下ろし中の転落事故や中毒、クマ外傷など、「新潟でしか学べないこと」をしっかりと学んでいきたいです。
医師としても、人としても、実りある人生を送るために
―医師を目指す方へのメッセージをお願いします。

人生のワークライフバランスやQOLなどの観点から、「都心部で、もしくは住み慣れた場所で、医療に従事したい」と考える方もいらっしゃると思いますが、私のように、知らない場所で医療に従事すると、自分の人生観を変えてくれるほどの出会いが待っているかもしれません。オンラインで世界中がつながる今、「地方だから学べないこと」はほとんどなく、むしろ「地方でしか学べないこと」がたくさんあると思います。医師としても、人としても、実りある人生を送るために、まずは食わず嫌いをせず、地方にも目を向けてみてください。特にここ新潟は、本当におすすめです。食べ物はおいしく、四季がハッキリしていて面白い。ほぼ1年中が夏のような沖縄に生まれ住んでいた私としては、「こんな風に四季の移ろいを感じられるのも、人生の豊かさの1つだな…」と思いつつ、暮らしています。新潟県外に今お住まいの方、一度新潟で暮らしてみるといいですよ!
(所属等は執筆時現在です。)
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