先輩医師インタビュー 分野 眼科
2019年12月17日

見える喜びを叶え、患者さんの人生を輝かせたい。

新潟大学医歯学総合病院中野英之 先生新潟県出身・平成21年 山形大学医学部卒業

眼科医を目指したのはなぜですか。

もともと手術手技を磨いて患者さんに向き合える科に進みたいと考えていましたが、初期研修後には、まずは救急医療の場で経験を積みたいと思い新潟市民病院の救急救命科に3年間勤務しました。貴重な経験をさせて頂きながら、眼科手術は自分自身が努力して修練を積めば、どのような病院でも同様の手術医療を提供できるのではないかと考えるに至り、眼科医の道を選びました。また、学生時代から眼科の手術は三次元的で、眼の中の宇宙を対象にしているように感じていましたが、それも大きな魅力の一つでした。

「見る」ことは、生活の質を保つためには重要です。患者さんが「見えない」状況から「見える」ようになった時の喜びや感動に接すると、自分自身も大きなやりがいを実感します。

現在のお仕事について教えてください。

今は網膜硝子体疾患を専門として、週4日は外来、2日は手術を担当しています。それ以外にも、感染症や急な発症による症例への緊急手術を行うこともあります。

網膜は眼底に存在し光を感じる神経の膜であり、硝子体は眼球内部を満たしているゼリー状の組織です。ここに起きる病気は様々ですが、罹患患者さんが多いのは、糖尿病網膜症、網膜剥離や加齢黄斑変性などです。加齢のほか、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病由来の発症も多く、高齢の患者さんが中心ですが、若い方は悪化のスピードが速いので臨機応変な対応が求められます。レーザー治療や手術が必要になる場合も多々あり、網膜自体の厚さが0.2-0.3mmなので、手術ではミクロン単位の正確さが求められます。

眼科治療にはどのような特徴がありますか。

網膜硝子体分野では手術・薬物治療ともここ10年ほどで大きく進歩しています。手術用機器や補助器具が洗練され、手術時間が劇的に短縮される傾向にあり、無縫合小切開の低侵襲硝子体手術など新しい手技が登場し、良好な治療成績を上げています。患者さんへの侵襲が軽減されて、手術適用範囲が拡大し、より多くの患者さんの視力を守れるようになっています。

薬物治療については、例えば加齢黄斑変性症はひと昔前までは効果的な治療方法がなく、社会的に失明に至ってしまっていた病状の方が、今では抗VEGF製剤の硝子体注入により視力の維持・回復が期待できるようになりました。

こうした日進月歩の技術や知識に触れつつ、大学では先輩方に学び、自分自身でも修練を続けています。

これからの目標についてお話しいただけますか。

「安心して紹介・受診できる」と、患者さんからも、周囲の先生方からも、眼科治療を必要とする人を紹介してもらえる存在になることが、眼科医になった時からの目標です。そのためには、幅広く豊富な経験を積んで種々の網膜疾患に対応できるように、また、新しい知識や技術をいち早く身に付けて患者さんに提供できるように心がけています。

医師を目指す人へメッセージをお願いします。

新潟県は総じて医師数が不足していますが、中でも眼科医数は少ない状況です。眼球には加齢とともに様々な変化が現れ、多くの疾患が発症しますので、超高齢社会では眼科医の果たす役割も引き続き大きいと思います。私自身日々実感していますが、人生を一変させる「見る」を守る仕事はやりがいがあります。今も種々の眼科研究が行われており、さらに多くの人の「見る」を守ることもできるようになると思います。新潟で眼のプロフェッショナルとして一緒に働きましょう。

(所属等は執筆時現在です。)