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対象:医学生の方、医師の方、医師を目指す方、研修医の方 分類:臨床研修、専門研修、その他

県と新潟大学医学部は、総合的な診療能力を持つ医師の養成・確保に向け連携して取り組みます

お知らせ 2021年02月10日

新潟県と新潟大学医学部は、総合的な診療能力を持つ医師の養成・確保に向け連携して取り組みます

新潟県と新潟大学医学部の協定締結の概要

  令和3年1月19日に、新潟県と新潟大学医学部は、総合的な診療能力を持つ医師の養成等に係る協定を締結する調印式を行いました。

 将来の人口構造の変化に伴う医療需要の変化等に対応し、県内のどこに住んでいても、安心して医療を受けられる環境づくりを進めるためには、今後、総合的な診療を中心的に担う医師を確保していくことが、より求められているため、新潟県と新潟大学医学部が連携し、これらの医師の卒前からの養成等に取り組むこととしました。

花角知事と染矢医学部長からのコメント

 知事は、「大学と県、地域が連携し、総合的な診療能力を持つ医師の養成・確保を行っていくことで、県内のどこに住んでいても安心して医療を受けられる環境づくりを進めていきたい」と話しました。

 染矢医学部長は、「総合診療能力を持ちたいと思っている学生はたくさんいる。新潟県でも、きちんと総合診療医になれる道を作っていきたい」と話しました。

花角知事のあいさつ

 新潟県は医師偏在指標によれば、全国トップの医師不足県となっています。

 医師の数の確保については、新潟大学にご協力いただき、地域枠を増やすことなどを行ってきたほか、国に対し、臨床研修や専門研修の制度改正などを強く働きかけており、数の確保を目指すということは引き続きしっかりと取り組んでまいりますが、医師の数が確保出来れば良いのかと考えております。

 医療の世界も専門化、高度化が進んでおり、臓器別・疾患別に専門医がどんどん育成されております。

 それはそれで大変結構だと思いますが、地域医療の中で見たときに、高齢化が進み、1人の高齢者が2つも、3つも、様々な疾患を抱えることは、ごく当たり前のことになってくる中で、地域包括ケアシステムにおいても、中心的な部分を担っていただきながら、患者さんが複数の疾患を抱えてこられた時にも、適切に診断を行い、適切に必要な専門医に繋ぐことも出来、その疾患の背景にあるような生活の課題、心理的、社会的な部分まで、総合的に診ていただける総合診療医を確保していくことが、医師の数を確保していく問題と並んで必要であり、大きな課題であると考えております。

 今年度、新潟大学医学部の総合的な診療能力を持つ医師の養成推進事業が国に採択されところであり、これらの医師を早急に確保するため、新潟大学と県でしっかり連携しながら、地域医療をより良くしていくための総合診療医を確保していくという事業を一緒に進めてまいりたいと思っております。

 県からは、様々な地域医療の課題や現状などの情報提供をさせていただく中で、大学において、それらの情報を医学生の教育あるいは卒業後のキャリア形成支援のために活かしていただければと思います。

 医学生に対する授業を行い、医師を養成する大学側と、行政を担う県、それから地域も上手に巻き込み、3者が連携しながら、県内のどこに住んでいても安心して医療を受けられるような環境づくりを進めてまいりたいと思いますので、どうかこれからもご協力をお願い申し上げます。

染矢医学部長のあいさつ

 

 新潟大学医学部では厚生労働省が行う総合的な診療能力を持つ医師の養成推進事業に応募し、新潟県のご協力も得まして、無事採択されることになりました。

 知事からもお話がありましたように、超高齢社会を迎える我が国、特に新潟県にあって、どういう医師の養成が必要なのか。ややもすれば今の医学教育というのは臓器別の専門医を育成するという方向に舵が切られていますが、昔の医学部は、今でいう総合診療医として地域の医療や家庭を一手に支える医師を養成していたわけですので、今の医学部の教育が本当にその社会のニーズに沿った医師の養成が出来ているのか、という問題を突きつけられるような事業の発表であったかとも思います。

 新潟県には多くの地域医療を支えてきた医療機関や、総合診療の優れた指導能力を持った先生方がたくさんいらっしゃいます。ただ、これまでは1人1人のそうした先輩達のご尽力に頼ってきた部分が大きかったのですが、それを新潟大学が中心となって県全体としてのシステムを作ることで、若い医師の総合診療の能力を高める循環型の仕組みを作っていくということに取り組もうということになりました。

 これまでの他の大学の取組と大きく違う点は、いわゆる総合診療専門医という総合診療の専門家を育てるとともに、臓器別専門医であっても、総合診療能力が極めて高い医師を養成するという、この2つを行うということが今回の事業の目玉であり、それが出来る基盤が新潟にはあると思います。

 また、総合診療の勉強をする先生方が、地域や大きな病院で総合診療をするだけではなく、例えば大学で研究にも従事したり、地域の経営能力・診断能力や公衆衛生の力をつけるために、時には海外に留学したり、研究にも従事したりといったような総合的なキャリア支援を行うということで、ぜひ多くの医学生、それからもう既にドクターになっておられる先生方に、この事業に協力をいただいて、新潟県に1人でも多くの優秀な総合診療能力を持った医師を育成してまいりたいということでございます。

 この事業にあたって、医学生の卒前教育においては、新潟県の県立病院をはじめとする地域医療を支える病院での実習が非常に大事になりますし、地域枠の学生が卒後地域の病院に配置されるということにおきましても、総合的な診療能力を高めるような配置を新潟県にお願いしなくてはならないため、新潟大学単独ではもちろん出来ません。新潟県のお力をいただきながら、この事業を進めていきたいと思っておりますので、今回このような協定が結ばれるということを大変有り難く思っております。

 これから、長い道のりになると思いますが、新潟県の医師確保、そして医療を支えるという極めて大きな事業になると思いますので、ぜひ皆様のご協力をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

調印式における質疑応答

Q 総合診療医に期待する役割は?

(花角知事)

 様々な疾患を持つ人たちを一旦きちんと受け止めて、適切に診断し、専門医などに繋いでいく、適切な処置が出来る医師がいることが、ものすごくその地域にとっては安心出来る医療ということに繋がると思っています。 
 例えば、臓器別の診療医を10人揃えるのは無理だとしても、総合診療医が1人いることで、県内の別なところに臓器別の専門医がいれば、そこに繋いでいくことが出来るということになる。
 全体としてみれば、少ない医療スタッフで極めて質の高い医療が提供出来るようになり、医師の量の問題にも関わってくるという意味で、この総合医診療医を育成・確保していくことが極めて重要な課題だと認識しています。

Q 総合診療医を養成する必要性は?

(染矢医学部長)

 高齢の先生方がまさに総合診療医として地域や家庭を支えてきたという側面があります。その先生方の後継となるべく、若手の総合診療能力を持つ医師をきちんと育成していく、そういう仕組みが必要だと考えています。

Q 新潟大学のプログラムは、いつから、どんな取組を行うのか?

(染矢医学部長)

 去年の12月に新潟大学医学部医学科に総合診療学講座を設置し、その教授に上村先生が着任して、12月から正式な活動を始めています。

 具体的には、今年の1月から始まっている臨床実習について、これまでいわゆる内科系、外科系、その他の専門系と、3つのコースから2つずつ選択して、計6か月の実習をするという形でしたが、今回、4つ目のコースとして総合診療コースを作り、総合診療を臨床実習としてぜひ経験したいという学生が選べるようにしました。 

 学生には、周知不足の面もありましたが、それでも約4分の1、31名の学生がこの総合診療コースを選択してくれました。  

 先日開催したキャリアパス説明会において、総合診療コースのことも説明したところですが、コースを選択する前に説明を受けたかったという学生の声が多く寄せられたことから、やはり私たちが思っている以上に総合診療能力を持ちたいと思っている学生がたくさんいました。

 ただ、そういう学生が、総合診療を大々的にうたった都会の研修病院に流れていく、そういう流れがあったものですから、新潟県でも、きちんと総合診療医になれる、そういう道を作っていきたいと考えています。 

新潟大学医学部医学科総合診療学講座の紹介

新潟大学医学部総合診療学講座 上村顕也 特任教授からのあいさつ

 

 はじめまして、新潟大学医学部医学科総合診療学講座の上村顕也と申します。新潟大学医学部医学科では、2020年夏に厚生労働省による公募事業『総合的な診療能力を持つ医師養成の推進事業』に、『新潟から総合診療医を育成する新たな挑戦:オール新潟体制での総合診療医育成コース【新潟方式】の確立(Niigata Training Methods for Generalist, NTMG)』を応募し、非常に高い評価、期待を受けて採択されました。

 本事業は社会の高齢化が進む一方で、医療の専門分化・高度化が進む我が国において、患者個人の複数疾患や生活上の課題を総合的に診ることができる医師を育成・確保するために厚生労働省が、大学を事業の実施主体として公募したものです。事業の採択を受け、2020年12月1日には新潟大学医学部医学科総合診療学講座が開設され、私が担当の特任教授を拝命し、活動を開始しました。事業開始から多大なご支援、ご協力をいただいている、新潟県福祉保健部の皆様に深謝申し上げます。

  新潟大学医学部では本事業で育成すべき『総合診療医』を多様な能力を有し、それを多次元的に伸ばしていく医師、と捉えております。すなわち、『患者さんの全身を診る』、『生活の視点から診て支援する』、『多職種連携』、『マネジメント』などの総合診療の能力や、『臓器別の疾患を診る』などの臓器別診療の能力などを伸ばす医師です。その養成のために、新潟県、県内の医療機関、新潟県医師会の皆様と密接に連携し、卒前・卒後の教育、実習、研修法を確立します。染矢俊幸医学部長からも、医学部を挙げて取り組む、という力強いお言葉をいただいています。

 また、そのような総合診療医を継続的に養成するために、現場での診療、大学や基幹病院での研修や後進の指導という循環型のシステムをつくり、研究や留学などのキャリアや働き方を支援することも目標としています。これらの内容全体をNTMGとし、「多様な能力を有する総合診療を専門とする医師」と「臓器別専門医でも十分な総合診療能力をもって診療できる医師」などの育成やそのキャリア支援などを継続的に行います。

 さらに、将来の新潟の総合診療医となる医学生にも、プログラムの改訂や広報などに積極的に関わってもらい、時代のニーズに合った、総合診療医育成を行ってまいります。新潟方式の総合診療医育成コースを充実させ、多くの医師が新潟で働きたいと思う情報を全国に発信することで、新潟県の医師数増加や偏在の解消に貢献できるのではないかと考えます。このお知らせをお読みになり本講座の取り組みにご興味のある先生がいらっしゃいましたら、いつでもご連絡ください。今後、事業を推進するにあたりまして、ますます皆様のお力添えを何卒よろしくお願い申し上げます。

スタートアップシンポジウムを開催しました

 1月22日に本講座のスタートアップシンポジウムをオンラインで開催し、松本晴樹新潟県福祉保健部長にも本講座に寄せる期待のお言葉を頂戴しました。事業内容のプレゼンテーションの後に、新潟県で総合的な診療に関わっている若手医師によるパネルディスカッションを行い、診療の状況や多様性のある幅の広い実習や研修環境、指導層をアピールいただきました。当日は110名を超える医師、学生の参加を得て、学生からの多くの質問や先生方からのコメントをいただき、活発な意見交換が行われました。

 本事業への関心、期待の高さを実感し、気を引き締めなおしております。

総合診療医育成コース【新潟方式】の概略図

新潟大学医学部医学科総合診療学講座のホームページへ

医師ナビにいがたNEWS vol.1

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  ※医師ナビにいがたNEWSでは、今後、県内の医師にかかる情報などを定期的に掲載しています。